鋼のメンタルなんて存在しない。その人の運がすごく良かっただけ。
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苦手な言葉が二つあります。
「お酒は飲んでたら強くなるよ!」と、「失敗を経験して強くなれ!」です。
この言葉、どっちも強くなれよ的なこと言ってるんですけど、これ、結局お酒がもともと飲める人か、成功している人しか言わない言葉なんですよ。
だってお酒飲み続けったって「アルコールの抗体は後天的に増やすことはできない」って科学的に証明されているんですもん。
「失敗を経験して強くなれ!」の方でいうと、退職した会社で「しげさんはもっと失敗を経験した方がいい」と言われていて、謎のプレッシャーを感じていました。
なんでや。なんでわざわざ失敗しに行かなきゃいけないんだ。
成功体験させてくれよ。
ポジティブスパイラルに入らせてくれ。
そりゃ失敗して経験することはこの世にたくさんあると思いますし、失敗するから成功もあると言えるでしょうけど、誰かに「失敗して経験しろ!」と言われる筋合いはないです。
どんな経験をするか、自分で選びます。
ある程度失敗をした方が精神的に強くなれる、という論調が、本当に苦手で反吐が出ます。
ずーっと失敗を続けていると、「成功」することを諦めてしまう、という心理実験があって、その概念を「学習性無力感」と言います。(学習性無力感 - Wikipedia)
実験方法はネズミを水に落とし続けて、最初は這い上がってくるものの、繰り返し落とされる経験をすると、這い上がることをやめて自死を選ぶ、という衝撃的な内容です。
結構この学習性無力感に陥っている人が周りにいっぱいいるなーって感じていて、「何やっても怒られるしどうでもいいや」とか「何回やってもうまく行かないしもういいや」っていう言葉、すごい良く聞きませんか?
それってその環境がそうさせているかもという可能性は考慮していますか?
その人のやる気がないとか、そういう性格だから、って言って片付けることがあまりに多いです。
うつ病などの精神疾患で、自殺する人の割合は非常に多いですが、この無力感から自死を選ぶことと、構造が似ているのではないかと思います。
私は、「鋼のメンタル」なんて存在しなくて、この「自死を選ぶほどの無力感」や、「水に落とされ続ける環境」に出会うことがなかったその人の人生が、すごく運が良くて恵まれているだけではないかと考えています。
そして、このことで精神疾患を持っていない人を妬んだり、羨んだりしているということではなく、「心が弱い=病む」という図式が完全に間違っているということを理解して欲しいのです。
精神疾患を経験したことがない人は得てして「ポジティブに考えて欲しい」って考えがちだと思うのですが、脳がそれをできないから精神疾患に陥ります。
「心の病気」という言葉は、表現としては軽くて不適切だと思っています。
精神疾患は、環境や遺伝、脳のホルモンなどによって引き起こされることが多いです。「心の病気」という表現のせいで理解が進まないという側面もあるかもしれません。
精神疾患を「運がなかった」といって片付けるつもりも毛頭ありませんが、「私がこうなってしまったのも、たまたまだな〜」と思っています。
それと同じように、精神疾患になっていない人も、その人の運が良かっただけですよ。